竹取物語:かぐや姫の昇天

朗読:田中洋子
原文PDF作成:杉山優花
現代語訳:田中洋子

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竹取物語

平安時代前期(9世紀)の成立。源氏物語に「物語の出できはじめの親」と書かれており、その頃、もはや物語文学の始まり、と意識されていたことがわかります。内容は有名な「かぐや姫」の物語。竹の中からの出生、富の発見、不思議な成長、五人の貴公子の求婚、帝の求婚と文通、そして月の世界への帰還と続きます。

 朗読箇所は「月の世界への帰還」のクライマックス。帝から送られた守備兵の警護もむなしく、月からの迎えの天人がかぐや姫と言葉を交わすところからです。月の世界は、不老不死の美しい天国のようなところ。物思いもないようです。天の羽衣を着ると、この世での物思いを忘れてしまうからです。不死の薬もあります。

 ところが、かぐや姫はそのような世界へ帰ることを喜んではいません。「逃れがたい迎えが来て」と否応なく帰ることになったと言明しています。天の羽衣を着ることをしばらくの間、拒否し、帝への最後の文をしたためるのです。そこには「物思い」だらけのこの世界に生きる人間への限りない共感と愛しさがあります。この世界に生きる中で、かぐや姫はおじいさんとおばあさんの愛情に育まれ、帝の心を込めた求愛の歌に心を動かされ、人間の愛情をたっぷり注がれたのです。この愛とそれに伴う苦しみを忘れ去り、美しい世界へ飛び去ることを、かぐや姫は嫌がったのです。そこには単なるおとぎ話の域を超えた、人間の心を重んじる「文学」の香りが漂います。そう、竹取物語はカナ文字で書かれた初めての「文学」として私たちの前にあるのです。


現代語訳
天人の中に持たせていた(主語はわかりません。神様?)箱があった。天の羽衣が入っている。またもう一つには不死の薬が入っていた。一人の天人が言う。「壺のお薬を召し上がれ。汚いところのものを召し上がったので、お気持ちが悪いでしょう」。そう言って持ってきたので、ほんの少し(姫が)おなめになって、少し形見に、と脱いでおいた衣に包もうとすると、天人は包ませない。天の羽衣をとって着せようとする。その時に、かぐや姫は「ちょっと待って」と言う。「羽衣を着せられた人は、心が違ってしまうと言う。一言、言いおかなければならないことがあるの」と言って、手紙をかく。天人は遅い!とイライラなさるが、かぐや姫は「物わかりの悪いことをおっしゃるな」と言って、たいそう静かに、天子様にお手紙をお書きになる。慌てない様子だ。

  このようにたくさんの人をお遣わしくださってお引き止めになろうとしてくださいましたが、許さない迎えが参りまして、私を連れて参りますので、残念で悲しいことでございます。お仕え申し上げませんでしたことも、このように面倒臭い身の上でございますので、(あなたは)わけが分からないとお思いだったでしょうけれど、(私は)心強くお受けいたしませんでしたこと、無礼な者とご記憶に留められてしまいますことが、残念でございます」と書いて

  今はとて天の羽衣きるをりぞ君をあはれとおもひいでける

   (今はもう行く、と言う時に天の羽衣を着る、そんな時に

    あなたのことを恋しく思い出しております)

と書いて、壺のお薬を添えて、頭中将を呼び寄せてお託しになる。中将に天人が取って、伝える。中将が取った時に、ふっと天の羽衣をお着せ申し上げると、おじいさんを恋しく愛しいとお思いになることもなくなった。この衣を着る人は、物思いがなくなるので、車に乗って、百人ばかりの天人を連れて、天に昇って行ってしまった。

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