カトリック築地教会のハルモニウム

艶やかな音色を奏でる 足踏み式鍵盤楽器の保存に向けて

カトリック築地教会に 100 年以上前からあると いうハルモニウム。フランス・パリの会社で作られ、 明治中期に輸入・搬入された貴重な鍵盤楽器ですが、 保存と修理が課題になっています。

ヨーロッパで広まったし足踏み式鍵盤楽器

19 世紀の半ばにフランスで生まれ、19 世紀末から 20 世紀初頭のヨーロッパで広まった足踏み式の鍵盤楽器・ハルモニウム。足元の 2 枚の板を交互に踏みながら空気を送り、リードという金属の板状の部品を震わせることで音が鳴る仕組みです。「空気を送ってリードを震わせて音を出す」というのは、口から空気を送るハーモニカや手を使って空気を送るアコーディオンと同じ仕組みです。高額で場所を取るパイプオルガンの代用楽器として広まり、セザール・フランク(1822-1890) や フランツ・ リスト(1811-1886) などの音楽家が、ハルモニウムのための作品を多数作曲しています。

リードオルガンと異なる ふいごの仕組み

ハルモニウムと同じ外観 の「リードオルガン」は、アメリカで普及し日本に 入ってきた足踏み式鍵盤楽 器です。こちらも足踏みをして空気を送り、リードを震わせて音を鳴らす仕組みですが、ハルモニウムとの一番の違いは中のふいごの仕組みつまりリードに空気を送る仕組みです。
リードオルガンは、踏み板を踏んで風箱から空気を 抜き、鍵盤を押すことで、 陰圧になった風箱に空気が 吸い込まれ、その空気によってリードが震えて音が鳴るという「吸入型、吸い込み式」の楽器です。そのため音が柔らかく感じられ るという特徴があります。
一方のハルモニウムは、踏み板を踏んで送った空気を直接リードに当てて音を鳴らす「圧縮型、吹き出し式」を採用しており足踏み加減で強弱をつけることができます。

希少になった楽器の 修理・保存が必要

現存する足踏み式のハル モニウムも、また修理技術 を持つ職人も少なくなって います。カトリック築地教 会が所有するハルモニウム は、2014年に修理が行われ、現在に至っています。 ハルモニウムから奏でられ る艶やかな音色は、今後も 修理や保存をしながら守っていきたいものです。

写真は、2023年12月10日に行われたコンサートで演奏されるハルモニウムと演奏者(オルガニスト)加藤陽子さん

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