雉(きじ)
「雉(キジ)」は今日取り上げられることが多くはありませんが、音楽的に言えばかなり高度な技術が要求される名作と言っても過言ではありません。早いテンポでグイグイ引っ張られていく緊迫感。
♫「山芋(やまいも) あけび…野茨(のいばら) もみじ…」
私たちは、いつに間にか伊豆の山奥の狩猟場にいます。
♫「歩け はしれ 雉!飛ぶな とまるな 雉!」
今にも飛び立ちそうな雉の存在感が視覚的にも印象的です。「見えない鳥」(=森に潜む雉)を狩猟者が虎視眈々と狙っています。それを見ている「もう一つの目」は、密かに雉の味方をしているようです。
♫「山に轟く 二連のこだま…!」劇的に音は止みます。微かな余韻を残して…。
1・雉
山芋 あけび
野茨 もみじ
あるけ はしれ 雉
とぶな とまるな 雉
木木の葉を
くぐり
栗 ぶな うるし
くま笹 かつら
あるけ はしれ 雉
とぶな とまるな 雉
風下に
まわれ
みえない 鳥
雉を 追って
雉の かおりを
追っていく
猟犬
あざみ咲く 沢
すすきなびく 草場
雉の かおりを
追っていく
猟犬
あきしばのかげ
野ぶどうの つる
あるけ はしれ 雉
とぶな とまるな 雉
音もなく
雉よ
雉は飛ぶ
雉は 飛び立つ
日に映えて
最後の空に
その 美事なすがた
ああ………
山にとどろく
二連のこだま!