雪のひとひら 朗読とピアノで送る世界の文学 その4

雪のひとひら
ポール ギャリコ (作〕 矢川 澄子 (翻訳〕
朗読とピアノで送る世界の文学シリーズ第4弾の本です。 作品に対する洋子先生のコラムをお届けします。公演の日時等決まり次第お知らせします。

 有名な短編です。今も新潮文庫に入っており、再販を続けています。静かな「雪のひとひら」の小さな物語がなぜ、こんな感動を生むのでしょうか。

 空から生まれた「雪のひとひら」が長い旅を通して結婚し、子供を育て、やがて命を終えていく、静かな物語です。そう、まるでシューマンの「女の愛と生涯」のようです。なんたって「雪のひとひら」なのですから、そんなに劇的なドラマは起きません。でも、それは私たちの本当の人生のあり方なのではないでしょうか。

 静かに、堅実に生きて行く、そんな静かな女性の一生。それはどこにでもある平凡な、そして尊い普通の女性の生き方なのでしょう。あなたの、私の、あの人の母親の一生がそこに投影されています。

 雪のひとひらと結ばれる「雨のしずく」も素敵な夫です。妻に寄り添いながら、妻と子供たちを守っていく、素敵なお父さんです。どこにでもある、幸せな一家の肖像なのでしょう。その幸せも時と共に失われていく、それをも、静かに受け入れていく素敵な夫婦と子供たちです。そして、いつか雪のひとひらのように、私も大きな温かい光に包まれてみたいです。そこでは時も場所もなく、愛の中で憩うことができるのでしょう。

 いつか音楽を入れながら朗読してみたい作品です。

 末になりましたが、訳文もとてもステキです。このような翻訳をしてみたいものです。「名作」にはいろいろなタイプがあります。血沸き胸踊るドラマチックな物語、涙を呼ぶ感動的なしんみりした物語、人生を深く考えさせられる真面目な物語・・・、その中にこのような素晴らしい文章で静かに人生を思う物語があるのだと思います。ぜひ、ご一読をお勧めいたします。

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